ペンテコステについて
ペンテコステ・メッセージ
一人の若いお母さんが教会の集会に来ておられました。彼女は出産後体調を崩し、ひどく重い病気になってしまいました。いろいろな病院に行ったのですがいっこうによくならず、ますますひどくなって行かれました。ある病院に入院しておられる時にお見舞いに伺ったら、わずかな間にげっそり痩せた彼女がベッドに横たわっていました。
彼女はその時、こんなことをわたしに言いました。「教会に行くようになってから、わたしは祈るということを知りました。祈れる、ということを知りました。
でも、祈っても祈ってもよくならない今の状態の中でもう祈りの言葉なんか枯れてしまいました。神さまももうわたしのことなんか、見ててくれないんです。」
そう、静かに言いました。その彼女の気持ちは痛いように伝わってきました。祈っても祈っても変わらない現実の中で祈ることに疲れてしまう。それはわたしたちの中にもあるものです。
しかし、祈るということはそもそもどういうことなんでしょうか。祈るということは自分の願い、自分の求めを神さまに要求し続けるということなんでしょうか。もちろん、そういうことも含まれるとしても、祈るということは、そうやって今ベッドから起きあがれず、神から見捨てられたと思い詰めているあなた、そのあなたのために祈り続けている方がいる、そのことに本当に気づくことから始まっていくものなのです。
キリストは弟子のペトロが今まさに裏切ろうとする直前に「わたしはあなたのために信仰がなくならないように祈った。だから立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」という言葉を残された。それはつまり、ペトロ、あなたは困難に直面して信仰をなくすだろう、不信仰になるだろう、だけどわたしはあなたのために祈り続けている。
不信仰なあなたが信仰へと呼び戻されるために祈り続けている。あなたのために祈り続けている者がいることをいつか気づいてほしい。そしてそのことに気づいて立ち直った時には兄弟を力づけてやりなさい、そうキリストは言われたのです。
祈れないのです、という彼女に向かってわたしが語れるのはこの主イエスの言葉なのだ、と思いました。あなたのためにキリストが祈っているんだ、ということ。
そしてそれを彼女が我がこととして受け取るのは聖霊の執り成しなのです。
ローマの信徒への手紙8章には使徒パウロのこういう言葉が書かれています。「同様に、霊も弱いわたしたちを助けてくださいます。霊自らが、言葉に表せないうめきを持って取りなしてくださるからです。」
聖霊はわたしがキリストを信じて生きるためにうめきを持って取りなしてくださっているというのです。キリストは神に右に座して今わたしたちのために祈り続けておられる、聖霊はわたしに降ってわたしの中でうめきを持って取りなしてくださる。
その執り成しはいつでもキリストをわたしが信じる者となっていくことへの執り成し、キリストを信じる者とされて、キリストの証し人となって生きるための執り成し、そこに集中していくのだ、とキリストは予告された。
キリスト教会はこの聖霊のうめき続ける執り成しの中で2000年の歩みを続けてきたのです。
祈れない彼女が聖霊の執り成しに気づき、聖霊の力によってキリストに結ばれている自分を受け取るようになる、それこそ神とキリストの願い続けることです。事実そのために働き続けてくださっているのです。
聖霊降臨の時、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえたといいます。聖霊は風のようにわたしたちに神から送られる。風のそよぎを当たり前のように受けて何も感じない時もあれば、風に吹かれている自分をはっきりと自覚する時もあります。
しかし大事なことはこの風が吹き続けていることに眼開かれていくことです。
聖霊が注がれている。キリストの愛と祈りの中に自分に気づかされていく。
そしてキリストの証人として生かされていく、聖霊を与え給う神に感謝して歩んでいきましょう。
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